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1.有一言而可以終身行之者乎 yǒu yì yán ér kěyǐ zhōngshēn xíng zhī zhě hū 一言にして以て終身之を行ふべき者有りや [訳]一生実行していけるようなたった一言の言葉というのはありますか 2.以臣弑君、可謂仁乎 yǐ chén shì jūn, kě wèi rén hū 臣を以て君を弑[しい]す、仁と謂[い]ふべけんや [訳]臣下でありながら君主を殺すのは仁といえましょうか 3.觀百獸之見我敢不走乎 guān bǎishòu zhī jiàn wǒ ér gǎn bù zǒu hū 百獸の我を見て敢て走らざらんやを觀よ [訳]獣が私を見ると必ず逃げていくという様子をご覧なさい。 4.其恕乎 qí shù hū 其[そ]れ恕[じよ]か [訳]それは恕(=思いやり)だろうな。 5.誰加衣者 shuí jiā yī zhě 誰[たれ]か衣を加ふる者ぞ [訳]誰が衣をかけたのか |
邪 yé・耶 yé上述のように疑問文はそのままの形で反語文にもなるので、文脈から判断して疑問の意味が単に修辞的なものであるなら反語文として解釈します。高校などでは反語文は「~だろうか、いや~ない」と訳すよう指導されたかもしれませんが、現実にはこれではくどすぎるので直訳的に「~だろうか」だけ(2)、あるいは意訳的に「~ない」だけにするのがふさわしい場面(3)もあります。
也 yě
與 yú・歟 yú
哉 zāi
1.誰加衣者 shuí jiā yī zhě 誰[たれ]か衣を加ふる者ぞ [訳]誰が衣をかけたのか 2.何憂何懼 hé yōu hé jù 何をか憂[うれ]へ何をか懼[おそ]れん [訳]何を心配し、何を恐れる必要があろうか 3.蛇安在 shé ān zài 蛇[へび]安[いづ]くにか在[あ]る [訳]蛇はどこにいるのか 4.何日是歸年 hérì shì guīnián 何[いづ]れの日か是れ歸[かへ]る年ぞ [訳]故郷に帰れる年はいつなのだろうか 5.弟子孰爲好學 dìzǐ shú wéi hào xué 弟子[ていし]孰[たれ]か學を好むと爲す [訳]門人の中で誰が学問好きであると思いますか 6.創業與守成孰難 chuàngyè yǔ shǒuchéng shú nán 創業と守成と孰[いづ]れか難き [訳]門人の中で誰が学問好きであると思いますか 7.汝與囘也孰愈 rǔ yǔ huí yě shú yù 汝と囘[くわい]と孰[いづれ/たれ]か愈る [訳]あなたと顔囘[=人名]とどちらが勝っているのですか 8.古來征戰幾人囘 gǔlái zhēngzhàn jǐ rén huí 古來[こらい]征戰[せいせん]幾人[いくにん]か囘[かへ]る [訳]昔から戦争に行って何人が帰れたというのか 9.爲歡幾何 wéi huān jǐhé 歡[よろこ]びを爲[な]すこと幾何[いくばく]ぞ [訳]どれだけの間、楽しいことをすることができようか 10.何能爾 hé néng ěr 何ぞ能[よ]く爾[しか]る [訳]どうしてそうできるのか 11.巵酒安足辭 zhījiǔ ān zú cí 巵酒[ししゆ]安[いづ]くんぞ辭するに足らん [訳]さかずきについだ程度の少量の酒をどうして遠慮して飲まないことがあろうか 12.豈遠千里哉 (qǐ/kǎi)(yuǎn/yuàn)qiānlǐzāi 豈[あ]に千里を遠しとせんや [訳]どうして千里を遠いと思って駆けつけないということがありませしょうか |
字 | 訓読 | 訳例 |
---|---|---|
誰 shuí 孰 shú | たれ | だれ(人を問う疑問代名詞) |
何 hé 曷 hé 奚 xī 烏 wū | なに | なに(物を問う疑問代名詞) |
何 hé 安 ān 烏 wū | いづく | どこ(場所を問う疑問代名詞) |
幾 jǐ | いく・いくばく | どれほどの(数量や程度を問う疑問形容詞) |
何 hé | なんぞ | どうして(疑問副詞) |
安 ān | いづくんぞ | どうして(疑問副詞) |
豈 qǐ | あに | どうして(反語をあらわす疑問副詞) |
1.何以知其然邪 hé yǐ zhī qí rán yé 何を以て其の然[しか]るを知るや [訳]何を根拠にしてそれがそうであるということがわかるのか 2.客何爲者 kè hé wéi zhě 客何[なに]爲[す]る者ぞ/客何[なん]たる者ぞ [訳]あなたは何をするのか/あなたはどういう者なのか 3.何爲不去也 hé wéi bú qù yě 何爲[なんす]れぞ去らざるや [訳]どうして立ち去らないのか 4.善之與惡相去何若 shàn zhī yǔ è xiāng qù héruò 善の惡と相去ること何若[いかん] [訳]善と悪とはどれだけ違いがあるというのか 5.此爲何若人 cǐ wéi héruò rén 此[これ]何若[いか]なる人たる [訳]これはいったいどんな人であろうか 6.如吾民何 rú wú mín hé 吾が民を如何[いかん]せん [訳]私が治める民をどうしてやることもできない 7.此何遽不爲福乎 cǐ héjù bù wéi fú hū 此[これ]何遽[なん]ぞ福と爲さざらんや [訳]どうしてこれが幸福にならないだろうか |
1.誰加衣者 shuí jiā yī zhě 誰[たれ]か衣を加ふる者ぞ [訳]誰が衣をかけたのか 2.吾誰欺 wú shuí qī 吾誰をか欺かん [訳]私は誰を欺いたりしようか 3.此何遽不爲福乎 cǐ héjù bù wéi fú hū 此[これ]何遽[なん]ぞ福と爲さざらんや [訳]どうしてこれが幸福にならないだろうか 4.王何必曰利 wáng hébì yuē lì 王(よ)何ぞ必ずしも利と曰[い]はん [訳]王様、必ずしも利益とばかり言うことはありません 5.盍反其本矣 hé fǎn qí běn yǐ 盍ぞ其の本に反[かへ]らざる [訳]どうしてその根本に立ち返らないのか 6.堯舜其猶病諸 Yáo Shùn qí yóu bìng zhū 堯舜も其れ猶ほ諸[これ]を病めるか [訳]堯や舜でもやはりこれを悩んでいたのだなあ 7.視吾舌、尚在不 shìwúshé、shāng zài fǒu 吾が舌を視よ、尚[な]ほ在りや不[いな]や [訳]私の舌を検査してくれ。まだ(抜かれずに)存在するかい 8.寒梅著花未 hánméi zhù huā wèi 寒梅花を著[つ]けしや未[いまだ]しや [訳]寒梅は花が咲いたかい 9.役夫敢申恨 yìfū gǎn shēn hèn 役夫敢へて恨みを申[の]べんや 労役に服する私は、どうして恨みを申し上げましょうか 10.觀百獸之見我敢不走乎 guān bǎishòu zhī jiàn wǒ ér gǎn bù zǒu hū 百獸の我を見て敢て走らざらんやを觀よ [訳]すべての獣が私を見ると必ず逃げていくという様子をご覧なさい。 11.君不見黃河之水天上來 jūn bú jiàn Huánghé zhī shuǐ tiānshàng lái 君見ずや黃河の水の天上より來[きた]るを [訳]ほら、黄河の水は天の上から流れてくる |
意味 | 現代中国語 | 漢文 |
---|---|---|
誰があなたに教えたのか | 谁告诉你? | 誰教汝(たれか汝に教ふる) |
あなたは誰に教えたのか | 你告诉谁? | 誰汝教(たれにか汝教ふる) 汝誰教(汝たれにか教ふる) |
助動詞「ん」(=「む」)はあくまで推量の意味であり、別に反語の意味があるわけではないのですが、反語文の訳は「どうして~だろうか。いや~でない」のように推量表現を用いることが多いことから、反語文には推量の助動詞「ん」が多く用いられ、そこからいつしか「反語文には「ん」を接続させる」という規則めいたものが生まれたようです。現在の高校生用教科書では、疑問文は「ん」ナシ、反語文は「ん」アリで通していますが、まれにこの原則をはずしているものがあります(次の文法-仮定に出てくる例文「必不得已而去、於斯三者何先」などはその例であり、疑問文でありながら末尾を「何をか先にせん」と読んでいます)。ただし反語文の中には「ん」を用いない訓読が定着している表現がいくつかあるので、それだけは例外ということになります。それは次のとおりです。
何不 hé bù ~ 盍 hé ~ | なんぞ~ざる | どうして~しないのか、すればよいのに |
不亦 bú yì~ 乎 hū | また~ずや | なんと~ではないか(~なことだ) |
非 fēi ~ 乎 hū | ~にあらずや | ~ではないのか(~だ) |