1.行不騎乘 xíng bù qíchéng 行くに騎乘せず [訳]出かけるときに馬に乗らない。 2.句讀之不知、惑之不解、或師焉、或不焉。 jùdú zhī bù zhī, huò zhī bù jiě, huò shī yān, huò bù yān. 句讀の知らざる、惑の解けざる、或いは師とし、或いは不[しか]せず。 [訳]読み方が分からないときには先生につくのに、人生の悩みが解決しないときは先生につかない。 3.未聞好學者也 wèi wén hào xué zhě yě 未だ學を好む者を聞かざるなり [訳]まだ学問が好きな人がいるということを聞いたことがない。 4.吾未見其明也 wú wèi jiàn qí míng yě 吾未だ其の明なるを見ざるなり。 [訳]私にはそのことが賢明なことであるとは、あまり思われない。 5.非常人可到 fēi chángrén kě dào 常人の到るべきに非ず。 [訳]ふつうの人が到達しうるところではない。 6.客舎寒無烟 kèshè hán wú yān 客舎寒く烟[けむり]無し。 [訳]応接間は寒く、暖房のための煙もたっていない。 7.何爲其莫知子也 héwéi qí mò zhī zǐ yě 何爲[なんす]れぞ其れ子[し]を知る(もの)莫きや [訳]どうして誰も先生を知らないんでしょうか 8.臣未之聞也 chén wèi zhī wén yě 臣未だ之を聞かざるなり。 [訳]私はまだこれを聞いたことがございません。 |
不 bù ・弗 fú | ず | ない | 動作・状態の否定 |
未(wèi) | いまだ~ず | まだ~ない | 「今までない」「限らない」 |
非 fēi ・匪 fěi | (に+)あらず | でない | 「である」の否定 |
無 wú ・毋 wú ・亡 wú ・勿 wù ・莫 mò | なし | がない | 存在を否定 |
1.無變古、毋變常 wú biān gǔ, wú biān cháng 古きを變[か]ふる(こと)無かれ、常を變ふる(こと)毋[な]かれ [訳]古くからのことを変えてはいけない。いつものことを変えてはいけない。 2.己所不欲勿施於人 jǐsuǒ(fù/bù/bú/fǔ)yùwù(shī/shì/yì)(wū/yú)rén 己の欲せざる所(は)、人に施す(こと)勿[な]かれ [訳]自分が望まないことは他人にしてはならない |
1.種之常不後時 zhòng zhī cháng bú hòu shí
之を種[う]うること常に時に後[おく]れず いつも時機に遅れることなく作物のたねをまいた 2.千里馬常有、而伯楽不常有。 qiānlǐmǎ cháng yǒu, ér bólè bù cháng yǒu. 千里(の)馬は常に有れども、伯楽は常には有らず。 [訳]一日に千里を走る名馬は常に存在するのだが、馬を見分ける名人はいつもいるわけではない。 3.兩虎共鬬其勢不俱生 liǎng hǔ gòng dòu qí shì bù jū shēng 兩虎共に鬬はば其の勢[せい]俱[とも]には生きず [訳]二頭の虎が戦いあったら、その結果は二頭とも生き残るわけではなく、どちらかが死ぬ。 4.有言者不必有徳 yǒu yán zhě bú bì yǒu dé 言有る者は必ずしも徳有らず。 [訳]言葉のうまい人は必ずしも徳をそなえているわけではない。 5.好讀書不求甚解 hào dú shū bù qiú shèn jiě 書を讀むを好めども甚だしくは解することを求めず [訳]書物を読むのが好きだが懸命に理解しようとはしない 6.黃鶴一去不復返 huánghè yí qù bú fù fǎn 黃鶴一たび去りて復た返らず [訳]黄色い鶴は飛び去ると二度と戻ってくることはなかった。 7.會其怒不敢獻 huì qí nù bù gǎn xiàn 其の怒りに會[あ]ひて敢[あへ]て獻ぜず [訳]彼の怒りを買ったので、無理に献上することはしなかった(=献上する勇気はなかった)。 8.觀百獸之見我敢不走乎 guān bǎishòu zhī jiàn wǒ ér gǎn bù zǒu hū 百獸の我を見て敢て走らざらんやを觀よ [訳]すべての獣が私を見ると必ず逃げていくという様子をご覧なさい。 |
不俱 | 俱[とも]には~ず | 両方とも~するわけではない |
不自 | 自[みづ]からは~ず | 自分から~するわけではない |
不盡 | 盡[ことごと]くは~ず | すべて~するわけではない |
不重 | 重[かさ]ねては~ず | 二度とは~するわけではない |
不必 | 必[かならず]しも~ず | 必ずしも~するわけではない |
不甚 | 甚[はなは]だしくは~ず | 激しく~するわけではない |
不復 | 復[ま]た~ず | 二度と~するわけではない |
1.父母之年不可不知也 fùmǔ zhī nián bù kě bù zhī yě 父母の年は知らざるべからざるなり 父母の年齢は知らないわけにはいかない 2.於物無不陷 yú wù wú bú xiàn 物に於て陷[とほ]さざるは無し すべてのものについて、突き通さないものはない。 3.官母賜我母不敢不受 guān mǔ cì wǒ mǔ bù gǎn bù shǒu 官の母の我が母に賜ふは敢へて受けずんばあらず お役人様のお母さまから私の母にいただいた品物は、受け取らないわけにはいきません。 4.偶有名酒無夕不飮 ǒu yǒu míngjiǔ wú xī bù yǐn 偶[たまたま]名酒有り夕[ゆふべ]として飮まざるは無し たまたまよい酒が手に入ったので毎晩飲まない夜はなかった。 |
上記部分否定の「不敢」ともかかわってきますが、過去(昭和59年)に共通一次試験(現・大学入試センター試験)で「不敢不受」の意味が出題されました(上記3)。このときの正解は「受け取らないわけにはいきません」であり、誤答選択肢の中には「是非とも受け取らせていただきます」という積極的な強い肯定もありました。「漢文の二重否定は強い肯定である」と思い込んでいた人は誤答したかもしれません。訓読の場合は原則として活用形に注意しながら二つの否定語を読んでいけばいいので、特に問題はありません(高校生にはよい文語文法の練習になります)が、以下の事項に注意してください。