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お名前は?(51-60)


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  1. お名前は?(51-55)
    51.A:贵姓?
    B:姓张。
    52.A:贵处是哪里?
    B:敝处湖北。
    53.A:您早起来了?
    B:起来一会儿了。
    54.A:喝茶了吗?
    B:喝过了。
    55.A:您从哪里来?
    B:打家里来。
    51.A:Guìxìng
    B:Xìng Zhāng.
    52.A:Guìchǔ shì li?
    B:Bìchǔ Húběi.
    53.A:Nín záo qǐláile?
    B:lái yíhuìr le.
    54.A:chá le ma?
    B:guole.
    55.A:Nín cóng li lái?
    B:jiāli lái.
    51.A:お名前は?
    B:張です。
    52.A:ご郷里はどちらですか?
    B:湖北です。
    53.A:早くお起きでしたか?
    B:起きたばかりです。
    54.A:お茶はおすみですか?
    B:飲みました。
    55.A:どちらからからおいでですか?
    B:自宅から参りました。

    ●原著との異同
    箇所当サイト原著
    52と55のA
    53と55の A“儞の下に心のついた字”
    54の A吗/嗎

    ●新出単語
    簡体字繁体字拼音注音符号意味
    起来起來qǐláiㄋㄚˇ ㄌㄧˊ起き上がる、立ち上がる
    ㄏㄜ飲む
    cóngㄘㄨㄥˊ~から
    ㄉㄚˇ~から
    家里家裏jiāliㄐㄧㄚ ˙ㄌㄧ自宅

     51。「贵姓/貴姓」は「敬語」に出てきましたが、この語はそのまま姓をたずねるのに使います。本文のようにまるきりそのままでもいいですし、「您」をつけて「您贵姓?/您貴姓?」のようにいうとなお確実です。答えの「姓~」は一応“姓を~という”という意味の動詞ですので、「是」などを使ってはならず、「(我)姓~」と答えます。本文では姓しか答えていませんが、どうせですから名まで答えましょう。その際はフルネームをそのまま答えるか、「我是~」という形で答えるといいでしょう。
     52。問いには「是」があるのに答えにはありません。目的語が数量や暦、出身地の場合は「是」は省略されることが多いのです。
     53と54は実は挨拶言葉です。中国語の挨拶といえば「你好」(→「もう一杯召し上がれ(71-80)」)に決まっていると思うかもしれませんが、もともと中国語にはきまりきった挨拶言葉はなく、場面に応じてこのようなやりとりをしていたのです。
     55。「从/從」も「打」も“~から”という意味の介詞です。
     一般に「里/裏」は“~の中”という意味で場所のあとにつきます。介詞ではないので前ではなく後であることに注意してください。英語では in ~のようになるわけですから英語とは語順が違います。ただしここではもう「打」という介詞がついているので、「家里/家裏」で一語扱いにしたほうがいいでしょう。「家里/家裏」は“自宅”、またビジネスではくだけた言い方として“ウチの会社”という意味でも使います。なお、台湾では「家裡」という表記のほうが普通です。



  2. ご飯は召し上がりましたか?(56-60)
    56.A:用了饭了没有?
    B:偏过了。
    57.A:您请坐!
    B:请坐! 请坐!
    58.A:您请吃烟吧!
    B:我不会。
    59.A:您请喝茶!
    B:您请!
    60.A:这位是谁?
    B:是我们舍亲。
    56.A:Yòngle fàn le méiyou?
    B:Piānguòle.
    57.A:Nín qǐng zuò
    B:Qǐng zuò! Qǐng zuò
    58.A:Nín qǐng chī yān ba!
    B:Wǒ bú huì.
    59.A:Nín qǐng hē chá
    B:Nín qǐng
    60.A:Zhèi wèi shì shuí
    B:Shì wǒmen shèqīn.
    56.A:ㄩㄥˋ ˙ㄌㄜ ㄈㄢˋ ˙ㄌㄜ ㄇㄟˊ ˙ㄧㄡ ?
    B:ㄆㄧㄢ ㄍㄨㄛˋ ˙ㄌㄜ 。
    57.A:ㄋㄧㄣˊ ㄑㄧㄥˇ ㄗㄨㄛˋ
    B:ㄑㄧㄥˇ ㄗㄨㄛˋ ! ㄑㄧㄥˇ ㄗㄨㄛˋ
    58.A:ㄋㄧㄣˊ ㄑㄧㄥˇ ㄔ ㄧㄢ ˙ㄅㄚ !
    B:ㄨㄛˇ ㄅㄨˊ ㄏㄨㄟˋ
    59.A:ㄋㄧㄣˊ ㄑㄧㄥˇ ㄏㄜ ㄔㄚˊ
    B:ㄋㄧㄣˊ ㄑㄧㄥˇ
    60.A:ㄓㄟˋ ㄨㄟˋ ㄕˋ ㄕㄨㄟˊ
    B:ㄕˋ ㄨㄛˇ ˙ㄇㄣ ㄕㄜˋ ㄑㄧㄣ
    56.A:お食事はお済みですか?
    B:もう済ませました。
    57.A:どうぞおかけください。
    B:そちらこそどうぞ。
    58.A:どうぞおタバコを。
    B:私はやりません。
    59.A:どうぞお茶を。
    B:おかまいなく。
    60.A:この方はどちらですか?
    B:私どもの親戚です。

    ●原著との異同
    箇所当サイト原著
    55A、58A、59A、58B“儞の下に心のついた字”
    60A这位/這位這一位
    ※57Aの「您」は原著でも「您」です。どうしてここだけこの字なんでしょう?

    ●新出単語
    簡体字繁体字拼音注音符号意味
    用飯用飯yòngfànㄩㄥˋ ㄈㄢˋ食事をなさる(敬語)
    piānㄆㄧㄢあいにく、都合悪く
    guòㄍㄨㄛˋすませる、終える
    qǐngㄑㄧㄥˇどうぞ~してください
    zuòㄗㄨㄛˋすわる
    chī食べる
    ㄏㄜ飲む
    wèiㄨㄟˋ~方
    舍亲舍親shèqīnㄕㄜˋ ㄑㄧㄣ私の親戚(謙譲語)

     56から59までは挨拶言葉が続きます。
     挨拶は文字通りの訳ができません。たとえば中国語の“こんにちは”は「你好」ですが、もともとこれは“あなたはお元気ですか?”という疑問文です(→「もう一杯召し上がれ(71-80)」)。だからといって今ではこれを“あなたはお元気ですか?”と訳してしまっては間違いであり、“こんにちは”と訳さねばなりません。しかし文脈によっては(たとえばこのあとに健康状態に関するやりとりが続くなど)、本来の意味である“あなたはお元気ですか?”と訳さねばならないこともあるでしょう。
     現在では挨拶は単純化、簡略化され、「你好」のような挨拶専門語句が固定化されているので、このような特殊な判断をしなければならない状況は限られています。しかし『急就篇』の時代の中国では挨拶言葉は固定化されておらず、状況によっていろいろな表現をしたのです。ですから小説などの翻訳では、場面をしっかり判断して訳すことです。これは意味のない挨拶のやりとりだと判断したら、字面どおりの訳はせず、思い切ってはしょってしまう必要があります。
     56は文字通りには“お食事はお済みですか?”“もう済ませました”ですが、実際には“おはよう”程度の意味で言っている可能性が大です。こういうときは、たとえ実際にはご飯がまだでも、「偏过了/偏過了」といわねばなりません。でないと相手に飯をおごらせることになってしまいます。
     「了」を用いた文の否定は「没有/沒有」を用います。たとえば「去了」の否定形は「没有去/沒有去」です。意味は“(まだ)行ってない”というわけですから「了」が消えることに注意してください。単に“いいえ”と答えたいときには「去」を省略して「没有/沒有」だけにすることもできます。
     「没有/沒有」は述語の前につく否定語として用いるときは「没/沒」のように省略することができるので、「没有去/沒有去」は「没去/沒去」でもかまいません。しかし単に「没有/沒有」だけのものを「没/沒」ということはできません。
     ですから「了」を用いた文で肯定+否定の形の疑問文を作るときは、「了没有/了沒有」となります。この場合「没有/沒有」は「没/沒」だけにしてはいけません。
     56のAで「了」が2回出てきていることについてはやっかいな話があるので、とりあえずここではいいことにしてください。詳しいことは「数えましたか(1-5)」で説明します。とりあえず、“動詞+目的語”という構造をもったものに「了」をつけるときには“動詞+「了」+目的語+「了」”となるが、前の「了」は省略できる、というくらいに理解しておいてください。「用饭/用飯」は動詞+目的語という構造を持つので「了」をつけると「用了饭了/用了飯了」となるのです。ただし前の「了」は省略できますので「用饭了没有?/用飯了沒有?」でもかまいません。
     「偏过了/偏過了」は文字通りには、“あいにくとすませてしまいました”です。つまり相手の言葉を“お食事はお済みですか。お済みでないならご一緒にどうぞ”という食事のお誘いと解釈したうえで、それを断っているのです。もちろん実際には挨拶言葉ですからそんな意志は全くないのですが。
     57。中国語の命令文は平叙文と全くかわりません。ですから「你看」は“あなたは見る”でもありうるし、“あなたは見なさい”でもありうるのです。もっとも命令文の場合は「你」を省略するのが普通ですが、平叙文だって主語を省略することがあるのですから同じことです。命令文の語気をやわらげる言葉として、「~吧」をやりましたが、逆に「吧」がついていれば命令文だということがよりわかりやすくなっているといえます。
     同じように命令文の語気をやわらげる言葉に、「请/請」があります。英語でいえばpleaseにあたる言葉ですが、動詞の直前につけます。
     57のBは着席をうながされたときの返答の挨拶言葉ですから、文字通り訳すとしても“そちらこそお座りください”のように主語を補って訳す必要があります。挨拶言葉ですから“どうぞ”とか“どうも”とか、適当に片付けたほうがいいような気がします。
     58。タバコを吸うのは今では「抽(chōu)烟/抽(ㄔㄡ)煙」ないし「吸(xī)烟/吸(ㄒㄧ)煙」と言います。タバコを吸う能力は“習得”ととらえられているようで、「会/會」を使います→「どれが好きですか?(21-30)」。
     59。「请/請」は単独で使うこともできます。その場合は57同様に、勧められたことをそのままオウム返しにしているということになりますから、“そちらこそどうぞ、ご遠慮なく”と辞退しているわけです。
     60。「位」は敬意をもって人を数える量詞です。